
顔や身体の目立つところにあるほくろって気になりますよね。大きいほくろが鼻の下やあご、フェイスラインにあるとヒゲ剃りの邪魔になるし、なんといっても人の視線が気になって仕方ない!という方は多いようです。
ほくろを取りたい気持ちはあるけれども、取ってもいいものなのか、取るにはどんな方法があるのか、取った後に傷跡にならないか、そもそもほくろって何?!このように、ほくろとほくろを取る方法について知りたいことはたくさんあるのではないでしょうか。
そこで今回は、ほくろと最新のほくろ除去治療法について解説します。
「ほくろ」とは?
ほくろは、「母斑細胞」が集まってできたもので、母斑細胞は「ほくろ細胞」とも呼ばれています。メラニン色素を作る細胞を「色素細胞(メラノサイト)」というのですが、この色素細胞が変化したものが「母斑細胞」です。
母斑細胞もメラニン色素を作り出すため、ほくろはメラニンを含み、褐色~茶色、黒色というように色が濃いという特徴があります。
ほくろの種類!
ほくろは、「単純黒子」と「色素性母斑(しきそせいぼはん)」の2種類に大別されています。「単純黒子」は、形状が平らで1~2mmと小さいものがほとんどです。これは、母斑細胞が皮膚の表面に近い浅いところだけに存在し、塊を作らないからに他なりません。
一方の「色素性母斑」は、「母斑細胞母斑」とも呼ばれており、母斑細胞が増殖して塊を形成していくという特徴があります。皮膚の何層かにわたって形成されるため、徐々に盛り上がって隆起したり、大きくなってくるほくろです。
また、ほくろには、生まれつきある先天性のほくろと、いつの間にかできる後天性のほくろがあります。先天性のほくろは遺伝子によるもので思春期くらいまでにあらわれ、後天性のほくろは紫外線や外的な影響により、それ以降にできるものです。
ほくろは、数が増えることもあれば、もともとは平らだったほくろが大人になるにつれて母斑細胞の数が増えて隆起するというように形状が変化することもあるものだと覚えておきましょう。
大きなほくろ「色素性母斑」の分類!
「色素性母斑」は、母斑細胞が皮膚のどのくらいの深さ(層)にあるかで3種類に分類することができます。
境界母斑
「表皮」の浅い部分から、「表皮」と「真皮」の境界線くらい(真皮表皮接合部)までの範囲で母斑細胞が増殖している状態のほくろです。
複合母斑
「表皮」と「真皮」の境界線を越えて、「真皮」層にまで母斑細胞がしている状態のほくろです。
真皮内母斑
「真皮」の奥深いところで母斑細胞が増殖している状態のほくろです。
メラノサイトや母斑細胞はもともと「表皮」にある細胞です。それが何らかの原因により、「表皮」と「真皮」の境界線を越えて、皮膚の奥深くの真皮層でも増殖してしまうことがあります。増殖しているところが深ければ深くなるほど、ほくろは盛り上がって隆起してくるのです。
母斑細胞の増殖のスピードを調整したり、増殖を止めたりすることは困難ですので、ちょっとずつ大きくなっているほくろがもしあれば、早めに除去した方がいいでしょう。
また、真皮の奥深いところまで落ちてしまった真皮内母斑よりも、浅いところにある境界母斑を除去する方が簡単ですし、はるかに皮膚ダメージが少なくすみます。気になるほくろがあるのであれば、早い段階で除去してしまうのが得策なのです。
ほくろとメラノーマの見分け方!「ABCDEの診断基準」
ほとんどのほくろは良性ですが、稀に「メラノーマ」という悪性のほくろであることもあります。メラノーマなどの悪性の腫瘍の兆候ではないかチェックする際の指標に「ABCDEの診断基準」というものがありますので、気になるほくろをチェックしてみましょう。
A symmetry(非対称)
ほくろの形が左右対称でない。
B orders(境界)
ほくろの境界線があいまいで、形に規則性がない。
C olor(色)
ほくろの色が均一ではなく、濃淡がある。
D iameter(直径)
ほくろの直径が6mm以上である。
E volving(変化)
ほくろが急激に大きくなったなど、ほくろに変化が認められる。
2つ以上の項目に当てはまるほくろがあるようであれば、早めに皮膚科専門医を受診してダーモスコピーなどで診断してもらいましょう。メラノーマは進行が早いため、もし不安なほくろがあるのであれば、一人で悩まずに医師に相談してください。
最新!ほくろ除去治療法!
ほくろにはいくつもの種類があることから、ほくろの除去治療法にもさまざまな種類があります。最近では、レーザーや高周波を利用した電気分解法が一般的です。
メスを使用しないため、皮膚にほとんど傷跡を残さずにキレイに除去することができます。また、ダウンタイムが少ないのこともメリットです。
電気分解法(+Qスイッチヤグレーザー)
比較的弱めの電気エネルギーの高周波を利用して、ほくろを焼却して削り取るような除去治療法です。削り取る深さを精密に調整することができますので、根が深かったり大きなほくろもしっかりと除去することができます。
ほくろの根が深かったとしても、出血をしたり、その部分だけが凹んでしまったりするようなことはないので安心してください。また、イボ、脂漏性角化症、シミなどのお悩みにも効果があります。
当院では、電気分解法とQスイッチヤグレーザーを併用することで、さらにキレイにほくろを除去することが可能です。再発しないように、しっかりと除去することにもつながります。
エルビウムヤグレーザー(ActionⅡ)
エルビウムヤグレーザーの特徴は、水分吸収率の高さにあります。その水分吸収率は、従来までの炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)に比べて約10倍というから驚きです。
また、周辺組織へ熱によるダメージを与えにくいため、凝固層ができません。そのため、傷の回復が早く、仕上がりがきれいです。レーザー照射のスポット径が幅広く1,2,3,4,5,6mmとありますので、小さいほくろから大きめなほくろまで、的確かつキレイに除去することができます。
おわりに
ほくろはイメージ的には、メラニンをたくさん作っちゃうちょっとやんちゃな細胞の団体のような感じです。そのため、扱いは慎重にしなければなりません。
むやみにいじくったりせず、ほくろのプロである皮膚科専門医に任せるのが一番です。また適切な治療法などもほくろの病態により異なります。気になるほくろがあるときには、いつでもお気軽にご相談くださいね。